電源ユニットの製品選びのポイントは+12V出力にある。この+12V出力のスペックは、製品の出力仕様表に明記されている。下に TRUEPOWER Quattro TPQ-850の出力仕様表を示すが、+5Vと+3.3Vの最大出力が180W、+12Vの4レーンの最大出力が768Wという記載が見られる。では、な ぜこのように複数の出力電圧の合計に制限が生じるのだろうか。
電源ユニットにおける各電源系統の出力は、その高周波トランスが対応する容量に依存する。トランスは入力側(1次側)のコイルで磁界を発生させ、その磁界 により出力側(2次側)のコイルで電力に変換している。コイルには銅線が巻かれているが、大容量の電源ユニットでは2次側でより多くの電力を得るために、 この巻き線を太くすることで電気抵抗を減らし、大電流に対応できるようにしている。つまり、PC用電源ユニットでは、この1つのトランスで+12Vと+ 5Vの両方の電圧を得る方式が二般的だが、それぞれの巻き線には負荷電流に合わせた太さのもの力渡用されているというわけだ。また、+3.3Vはほとんど の製品で+5VをDC-DCコンバータにより変圧して生成している。
写真の例では、+5Vの出力は+5V×30.0A で150W、+3.3Vは+3.3V×25.0Aで82.5W、その合計は232.5Wになるはずだが上限は180Wになっている。これは、+3.3Vは +5Vから生成されているため、+3.3Vに減圧される分を含めて+5Vの出力容量が180Wであることを意昧している。また、+12Vの出力は+12V ×18.0Aで216Wになっているが、これを4レーン分、つまり4倍すると864Wとなるはずが、こちらも上限は768Wとなっている。どのレーンの+ 12Vの出力は同じ1つのトランスを用いており、コイル中の磁界の強さは決まっているので得られる電力にも上限が定まってしまう。そのため、これらの電圧の総和に制限が掛かるというわけだ。
さらに、電源ユニットに関しては変換効率についても目を配りたい。最近は静音牲を特徴とした製品も増えてきているが、発熱が少ない電源ユニットのほ うが静音性で有利だからだ。下図に示したように、変換効率が高い製品のほうが熱に変わってしまう電力が少ない。静音性を気にするのであれぱ、変換効率の高 い電源ユニットを選びたい。ここで注意したいのは力率と効率の違いである。交流から直流に変換するさいには、位相の関係から使用されなかった電力(無効電 力)が生じる。実際に使用された電力(有効電力)が入力した電力(入力電力)のどの程度なのかを示す数値が力率である。つまり、力率の高い製品は入力電圧 が無駄なく利用できることになる。一方の変換効率はさきの有効電力のうち、実際に供給される電力の割合いを示すもので、両者はまったく異なる。 Active PFCを搭載した製品は力率が高くなるが、Active PFCの回路白体で消費する電力が発生するため、変換効率が落ちる場合がある。変換効率について明記する製品は少ないが、力率と変換効率の違いを理解して おくことは、電源選びの大きなポイントだ。
電源ユニットの変換効率